店舗や事務所を住居に変えたら、この申告で固定資産税が激減する

建物の使用用途を変えると固定資産税は大きく変わります。
お店や事務所を住居にした場合は、なんと最大1/6に軽減されるんです。

でも自動的に変わるのではなく、物件の所有者からの申請が必要です。

必要書類は、「固定資産税の住宅用地等申告書

この書類に必要事項を記入して都税事務所に提出しなくてはなりません。
でも、たったこれだけで年間、何万~何十万円も固定資産税が、この先ずっと安くなるのですから、大家の仕事としては最重要な仕事の一つといっても過言ではないでしょう。

東京のケースをもとに説明していきます。

固定資産税は、どんな場合どのくらい安くなるの

建物の全フロアの用途を変える場合

お店を自宅に ⇒ 1/6

事務所を自宅に ⇒ 1/6

お店をアパートに ⇒ 1/6

事務所をセカンドハウスに ⇒ 1/6

東京23区のお店を自宅に ⇒ 約1/5

東京23区の非住居の固定資産税は、高くなりすぎているため特別な軽減処置があり申告によって20%安くなります。ほとんどのオーナーはこの申告をしているでしょうからその分を考慮すると約1/5の軽減となります。それでもインパクトある軽減です。

自宅をAirbnbに ⇒ 6倍!

最後に逆パターンにも触れておきます。
Airbnbを通して旅行者を自宅に宿泊させた場合は、商業利用と認定され、住宅用地の軽減がなくなります。
固定資産税はなんと6倍になりますので、お気を付けください。
しかも調査も簡単で、Airbnbのサイトを見れば一目瞭然なのです。
実際に京都市では、Airbnbのサイトから一斉に用途変更による評価替えが行われました。

地上5階建て以上の耐火建造物の一部の用途を変える場合

5階建て全フロア事務所を4,5階を自宅に ⇒ 1/3

5階建て全フロア事務所を最上階のみ自宅に ⇒ 1

5階建て全フロア事務所を2~5階を自宅に ⇒ 1/6

地上5階建て以上の耐火建造物の場合は、住宅部分の割合によって、住居として認められる割合が以下の表のとりに決められています。

住居部分の割合
1/4以上1/2未満0.5
1/2以上3/4未満0.75
3/4以上1.0

ちょっと、ややこしいですね。
実際の住居の割合でなく、もう少し大雑把に丸めた割合で計算するということです。

上の表で、率が1.0というのは全部住居として計算しましょう、率が0.5というのは、半分は住居として、半分は非住居として計算しましょうということです。

上記以外の建物の一部の用途を変える場合

3階建て全フロア事務所を2,3階を自宅に ⇒ 1/6

3階建て全フロア事務所を最上階のみ自宅に ⇒ 1/3

4階建てまでの建物場合は、先の対応表が少し変わります。
条件が緩和されて住居として認められやすくなります。

住居部分の割合
1/4以上1/2未満0.5
1/2以上1.0

つまり一般的な小ぶりのビルの場合だと半分が住居なら、全部住居として計算してもいいということです。

知っておくべき細かいルール

きわどい割合のときは、細かいところが大事になります。
細かいルールも知っておきましょう。

階段部分はどうなるの?

階段部分も計算に入ります。単純に平面図で見た階段部分の面積をそのまま、そのフロアの床面積に足します。

塔屋があった場合

固定資産税は、どんな場合ど・・の画像

塔屋とはこの図にあるように、屋上に上がるための階段と扉だけの構造物で、普通は階数として含まれません。

ただし屋上面積の1/8を超えると、階数としてみなすとのことでした。
その根拠は、建築基準法 施行令 第2条第1項第八号 とのことでした。

例えば4階建てのビルに1/8を超える塔屋があると、5階建てと認識されるとのことです。
4階建てと5階建てでは先ほどの対応表も変わってきますので、固定資産税の計算に影響を受けるケースもあります。

もしビルの建て替えなどで、4階建てビルを建てる際には、この点も理解しておいたほうが無用なトラブルをさけることができるでしょう。

 


住宅用地等申告書の入手方法と提出先

都税事務所のホームページからダウンロード

都税事務所のホームページのこのページ開き、

固定資産税・都市計画税 申請様式

住宅用地等申告書の入手方法・・の画像

5番目の「固定資産税の住宅用地等申告書【PDF版:112KB】」という部分をクリックすればダウンロードできます。

ただ、折角、電子ファイルでダウンロードしても、それを印刷してからボールペンなどで必要事項を記載し、都税事務所あてに郵送で送らなければならないので、結構面倒です。

プリンターがなければ、USBメモリにコピーしてコンビニで印刷するところから始めないとなりませんから、非常に面倒ですよね。

そういう場合は、以下の方法をとってください。

都税事務所に電話して送ってもらう<推奨>

お持ちの土地を管轄している都税事務所に電話して、用途変更する旨と必要書類を送ってもらいたいと伝えれば、郵送してくれます。
問合せる都税事務所によって差があるのかもしれませんが、うちの管轄の都税事務所の方は、申告書の記入不要の部分は、×印を付けてくれていたり、所有している土地の地番や登記面積を記した書面と切手不要の返信用封筒も同封してくれたので、楽ですし切手代もかからずお得でした。

インターネットからダウンロードするより、断然おススメです。
担当によってばらつきがあるかもしれませんが、都税事務所のホスタピリティはかなり高いです。

都税事務所は、区ごとに1つずつあるので、所有地に対応する都税事務所の固定資産税の土地評価の部署に電話してください。
電話が繋がるのは、平日8時30分から17時までです。

以下に、各都税事務所の土地の固定資産税の評価の部署の連絡先を記載しておきます。
代表番号と違って、直接、固定資産材評価の土地の部署に繋がるので、こちらの番号からかけたほうが、ストレスなく繋がります。

千代田都税事務所 03(3252)7152
中央都税事務所 03(3553)2168
港都税事務所 03(5549)3815
新宿都税事務所 03(3369)7167
文京都税事務所 03(3812)3418
台東都税事務所 03(3841)1924
墨田都税事務所 03(3625)5069
江東都税事務所 03(3637)7132
品川都税事務所 03(3774)6681
目黒都税事務所 03(5722)9096
大田都税事務所 03(3733)2424
世田谷都税事務所 03(3413)7124
渋谷都税事務所 03(5420)1655
中野都税事務所 03(3386)1119
杉並都税事務所 03(3393)1179
豊島都税事務所 03(3981)1644
北都税事務所 03(3908)1179
板橋都税事務所 03(3963)2403
練馬都税事務所 03(3993)2023
足立都税事務所 03(5888)6314
葛飾都税事務所 03(3697)6761
江戸川都税事務所 03(3654)2162

23区以外は、こちらから都税に関するお問い合わせ窓口

提出先は管轄の都税事務所へ

固定資産税の住宅用地等申告書が記載できたら、いま目的となっている土地を管轄する都税事務所に、申告書を持ち込むか郵送します。電話で申告書を送ってもらえば、宛先が書いてある返送用封筒も同封されているので、その封筒で郵送すればOKです。


固資税の住宅用地等申告書のここが分かりにくい

お役所の作る書類は、なぜか非常に理解しづらいです。
でも「固定資産税の住宅用地等申告書」を出すか出さないかで年間何十万円も納税額が変わるなんてザラにありますので、ここは頑張って書きましょう!

いちおう都税事務所のホームページにあった書き方の見本を転載しておきます。

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

小さいので、スマホで見ている場合は、指で広げて見てください。

この申告書を書いていて分かりにくくて手が止まってしまったとこは、

所在の書き方

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

ここ間違いやすいとこだと思うのですが、住所でなく登記されている所在というものを書きます。
住所にすごく近いけど、最後の数字が少し違うやつです。
地番と言ったほうがピンとくるかもしれません。
あ~見た事あるけど覚えてないよという人も多いと思います。

ここで書くべきは所在、つまり地番です。
住所と間違わないようにしてください。

都税事務所に電話して用紙を送ってもらったら所在と登記面積が明記されてる書面も同封してくれていました。

もしかしたらたまたま担当者が優秀だったのかもしれませんが、
電話して用紙を送ってもらうのはおすすめです。

家屋番号って何?

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

ここは家屋番号などを書くところです。
お役所の書類でよくわからないのが、などと書かれていても何を書くべきところなのか分かりません。
記入例を見ると、家屋があれば家屋番号で駐車場のように家屋番号がない場合は、利用状況を書くようです。

でも、家屋番号なんて、覚えている人いませんよね。
毎年税務署から送られてくる固定資産税納税通知書に確か書かれていたような気がしますが、定期的に税理士のところに書類を郵送している人は、手元になくて確認できなかったりします。

うちの管轄の都税事務所の場合は、電話で確認しましたら、ここは空白でも都税事務所側で調べて書いてくれるとのことでした。

この時思ったのですが、電話しながら書いたほうが確実です。
結構、そこは書かなくても大丈夫ですと言われるところがありました。
一人で悩まずにガンガン都税事務所に電話して聞いたほうがいいと思います。

申告する理由はどっち

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

まず、始めに申告することとなった理由の2択があります。

  • ・住宅用地として利用している
  • ・利用状況を変更した

この2択で、該当しないほうを二重線で消すのですが、

店舗や事務所で使っていた部屋を、住宅として利用するように変更した場合は、どちらも該当するという困った事態になります。

とりあえず住宅として利用していることが明確な

  • ・住宅用地として利用している

を選んでおけば大丈夫だと思いますが、気になる人は都税事務所に電話で確認してください。

利用状況(1月1日現在)の謎

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

今回一番理解できなかったのが、この利用状況(1月1日現在)です。

1月1日が過去なのか未来なのかよくわかりませんでした。
現在と書いてあるから、今年の1月1日、つまり過去の1月1日だと思っていました。

これから住宅として利用することは、先の2択で伝わっているので、いままでどう利用していたのか書くのかと思っていましたが、
念の為電話で確認すると、次に来る未来の1月1日時点での利用状況を書くべきところだそうです。

利用面積とある欄も、土地の面積なのか、のべ床面積なのか分かりませんでしたが、
ここは土地の面積を書くところだそうです。

何度もいいますが、この書類を書くときは、都税事務所に電話して、自分の状況を伝えて、都税事務所の担当に該当する土地の都税事務所に登録されている情報を見てもらいながら、どう書けばいいか逐一聞いたほうが良いと思います。

納税通知者番号は、書かなくてもいい?

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

納税通知者番号という欄もありましたが、こちらはマイナンバーとは別ものとのことです。
これは分からなければ空白でいいとのことなので、もちろん空白にしました。

家屋の表の記載がキモ

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

ここの記載によって、固定資産税の減額幅が計算されますので、慎重に書きたいところです。

用途として住宅か住宅以外の欄があり、(いずれかに◯)と書いてありながら、記入例では両方に◯があったりして混乱しますが、これはそのフロアを併用住宅として利用している場合はそのような記載になるようです。

固資税の住宅用地等申告書の・・の画像

駄菓子屋を営んでいて、その奥が一段高くなった和室の住居になっているような場合は、このような書き方になるのでしょう。


この家屋の表ですが、じっくり見れば理解できますが、ここの記載を間違えると固定資産税の計算が狂いかねない重要な部分ですので、都税事務所の担当さんと電話か実際にあって確認しながら書いたほうがいいでしょう。

  • 固定資産税の住宅用地等申告書を書く時のポイント!
  • 固定資産税の納税通知書を見ながら、都税事務所の評価の土地の係の人と電話しながら書いたほうがいいでしょう。
  • もし手元に固定資産税の納税通知書がなければ、都税事務所の人にデータをあたってもらい、教えてもらいながら書くこともできると思います。
  • 内覧に来る必要があるなら、そのときに一緒に書いてもらうこともできる場合もあります。
  • とにかく自分で理解して自分で数字を探して書くよりも、都税事務所の人に逐一確認しながら書いたほうが結果として早く完成できることでしょう。

 


都税事務所の職員による内覧

商業利用から住居への変更のように、固定資産税が下がる用途変更の場合、書面だけでなく現地での確認が行われることが多いです。

都税事務所の土地の係の人と日時を決めて、住居として利用している部屋を案内します。

彼らは必ず2人組で来ることになっています。
スリッパを用意する場合は、2組用意しましょう。
お茶やお茶菓子などは不要です。

担当者によるのかもしれませんが、うちの場合は、
先の提出書類の書き方がよくわからなかったので、この内覧のときに一緒に書いてもらいました。
思ったより、すごい親切な方々です。感謝。

さて、内覧で彼らが見るところは、以下の3点です。

  • ・風呂またはシャワー
  • ・キッチン
  • ・トイレ

この様式が揃っていることで、住宅であると認定できると言っていました。

さらに、洗濯機置き場があれば、より良いです。
ただ、これはなくてもコインランドリーで対応できるので、絶対必要ということではないでしょう。


都税事務所の職員について

税務調査に来る税務署の人のイメージがあったので、どんな人が来るのかと身構えていましたが、非常に親切で納税者寄りの考え方をしてくれる方々だったのビックリしました。

都税事務所の職員は、都庁の職員が持ち回りで務めているとのことでした。まったく関係ない部署から来て、だいたい3年くらいで、また別のまったく関係ない部署に異動することが多いそうです。

なので、赴任1年目の人だと話が通じないレベルで税金のことに詳しくないですが、3年目の人に当たると色々と詳しく教えてもらえます。ただ、次の年には異動でいなくなってしまうのが、残念なところです。

このような理由で、とても実力にムラがあります。
できれば3年目のちゃんと理解している人に内覧してもらったほうが色々とスムーズだと思います。

僕の場合は、何度か都税事務所に電話して、いろいろ聞く中で、やたら親切で詳しい方がいたので、その人に内覧に来てもらいたいと言ったら、その方が来てくれました。

今回の用途変更だけでなく、色々なアドバイスもいただけてとてもありがたかったです。


申告書のひかえは大切

固定資産税の住宅用地等申告書は、非常な重要な申告書です。
今後、状況が変わるまでは、ずっと固定資産税を安くしてくれる根拠となる書類なのです。

ですので、提出前にご自身で裏表ともコピーか写メでひかえを作っておくことを絶対おすすめします。

特に郵送や現地での内覧のときに手渡しする場合などは、手を離れる時間が長いので、事前にコピーか写メは絶対取っておきましょう。

顧問の税理士がいる方は、その控えを税理士に送っておくとよいでしょう。

正式な控えは、郵送や現地内覧時の手渡しの場合は、後日、都税事務所で受領印を押したものを郵送してもらえます。
こちらも大事に保管するか顧問税理士に送っておきましょう。

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